7つの視点から考えるガーデンデザインに取り入れるべき樹種

樹種SNS彩り豊かなお庭作りは、花に頼らなくても様々なデザインが可能です。ここでは様々な高さ、樹形の樹種を各ジャンルごとに分類しました。敷地の事情やお好みに合わせて、ベストなシンボルツリーをお庭に取り入れてみてください。
 

樹形からお庭をデザインする

樹形とは、葉と枝を広げた木全体の姿を指します。選ぶ樹種が将来どのような樹形になるかを知った上で、それらの大小を組み合わせながら植栽デザインを進めましょう。樹形は大きく分けると、丸形、縦長形、円錐形、盃型、乱形の5つに分けることが出来ます。
 

丸形

イロハモミジ、エノキ、サクラ類など、落葉広葉樹の多くがこのタイプの樹形に該当します。丸形は横のスペースも必要になるため、狭いお庭ではなくある程度広いお庭に配置するとより映えます。狭いお庭に丸形の木を植えたい場合、比較的横に広がらないヤマボウシ等を植えると良いでしょう。この他にもトチノキ、ハナミズキなどが丸形にあたります。
 

縦長形

常緑広葉樹の多くがこの樹形に当てはまります。代表的な樹種にはカツラやキンモクセイ、、クスノキ、サザンカ、シラカシ、ポプラ、モッコク、ヤブツバキ、ヤマモモなどがあります。横への広がりが比較的少ないため、前に和は玄関前などの狭い空間に合います。また縦長形の樹種は刈り込みに耐えるものが多いため、細長く剪定することが出来ます。
 

円錐形

コウヤマキ、スギ、ヒノキなどの針葉樹は、一般的にこの形に分類されます。特にコウヤマキは、剪定をしなくても自然に近い細い円錐形になります。和風や北欧風のお庭を作る場合、円錐形の樹種を選ぶとそれらしい雰囲気になりますが、ヒマラヤスギ、イチョウ、メタセコイアなどは大きくなりやすいので、ある程度広いスペースが必要です。
 

盃形

盃に似た樹形ですが、ほうきを逆さにしたような形にも見えるため、ほうき形とも呼ばれます。ケヤキやシマサルスベリ、ネムノキ、フジキなどが盃形になります。樹木を緑陰樹として利用する場合に向く樹形です。盃形の樹木は、丸形と同じく狭いお庭よりも広いお庭でこそ映えます。敷地にあまり余裕がないお庭では、これらを品種改良して広がりを抑えたムサシノケヤキやホウキモモを利用するのも1つの手段です。
 

乱形

樹形が天に向かわず定まらないものは乱形と呼ばれます。ウバメガシやサルスベリ、シコンノボタン、ピラカンサなどが該当します。乱形の樹木は樹形が暴れやすいと許容されることが多いので、詳細の際には一方向だけを見せるように樹木の一番手前に配置するか壁前に置くなどして、見え方を調整しましょう。
 

樹形を幹からデザインする

多くの樹木は1本の中心となる幹(主幹)が真っすぐ伸びて成長し、それに枝がついて樹形が整います。しかし、中には主幹が数多く出る低ぷや、主幹がくねくねと曲がるものもあります。ここでは、分岐形の中でも特徴的な株立ちと曲線形の2つについてご紹介します。
 

株立ち

株立ちは、根際から1本の主幹が出るのではなく数本に分かれて出ます。庭木によく使われる樹種にエゴノキやナツツバキ、ヒメシャラ、ヤマボウシなどがあります。
 
株立ちはある程度のボリューム感があるものの、幹1本1本が細いため軽やかな印象になり、狭い空間に使用しても圧迫感がありません。また、本来は株立ちにはなりにくい木でも、人為的はあるいは伐採や落雷など、何らかの事情で主幹がなくなり、代わりに脇から幹が数本出てきて株立ちを形成することがあります。
 
これらの樹木は、自然に株立ちとなる樹木より大きく成長します。シラカシやイヌシデ、カツラ、ケヤキ、クヌギ、コナラ、ヤマザクラなどの株立ちはこのタイプに該当します。
 
ケヤキなどの株立ちで、主幹の数が非常に多いものを武者立ちといいます。武者立ちは幹が重いため、根もまた大きくなります。そのため重量があり、運送・施工に手間がかかるためコストも1本物と比較すると高価になることがあります。
 

曲幹形

主幹が一定方向に向かず、平面で前後左右に揺れるように成長するものを曲幹形と呼びます。代表的な樹種はサルスベリですが、その他にもアセビ、アカマツ、クロマツ、イヌマキ、ネジキなどがこうした幹の形になります。マツ類やマキ類などは、この性質を活かして敢えてくねくねと曲げるように仕上げることもあります。
 

樹高から樹木を選ぶ

植栽から、植えようとしている樹木がどのくらいの大きさに成長するかが樹種選択の要素となります。大きな樹木は見た目にインパクトがあり、建物やお庭のシンボルツリーとなりやすいです。
 
また、建物にボリュームのある集合住宅などでは建物のスケールに負けないくらいの大木を植えることで、建物に風格を与えることが出来ます。逆に敷地に余裕が無い場合、あまり大きくなる樹木を植樹すると様々な問題が発生します。例えば木が成長することで家が日陰になり、住環境が悪化することが考えられます。また、成長した枝が屋根に覆いかぶさると、葉が屋根に落ちて雨樋が詰まる原因にもなります。
 
こうした問題を避けるためにも、敷地に余裕がない場所に樹木を植栽する場合は、特に次の2天を確認した上で樹木を選択しましょう。1点目は、植樹しようとしている樹木がどのくらい大きくなるかということです。
 
一般に樹木の高さは、高木、中高木、中木、低木、地被などに分類されます。それぞれの性格な定義はありませんが、高木が3m以上、中高木が2〜3mくらい、中木が1.5〜2m前後、低木が0.3〜1.2m以下、地被を0.1〜0.5m以下と考えるのが一般的な目安です。ただし同じ樹種でも個体差があり、明確に分水するのは難しいです。
 
戸建住宅は2階建で高さが8〜9mくらいになるので、大きくなる木を植える場合は、10m以上になる高木は出来るだけ避けて、2〜3mの中高木の中から比較的大きくなる木を選ぶと良いでしょう。
 
また、高木でもシラカシのように剪定が比較的楽で、小さく仕立てやすいものもあります。なお、大きくなる木はそれだけ枝や根が横に広がります。なので、樹木と建物と軒先の間隔は、最低でも樹高の1/4以上は確保しましょう。
 
2点目は、選択する樹木がどのくらいの花やsで成長するかということです。例えばヤマモモやタブノキのように、大きくなるけれど成長が遅い樹種であれば年に何度も剪定しなくても十分に高さのコントロールが出来ます。
 
したがって、こうした樹種は狭い敷地でも採用が可能です。一方、プラタナスのように昔から街路樹に使われるような樹種は、その殆どが成長が早く、大きくなるものが多いです。そのため、これらの樹木は狭いお庭では選択はしないほうが無難でしょう。
 
近年人気があるコニファーのゴールドクレストは、非常に成長が早く、その上かなり大きくなるので選択の際には後々の管理について検討してから取り入れましょう。
 

小さいままの木で作るお庭

個人住宅のお庭では思うように植栽にスペースを取れないことがあります。スペースの制限を受けるお庭では、あまり成長しない、樹高が小さいままの木を選ぶことがお庭づくりの基本となります。ただし、小さい気であってもある程度の見栄えは欲しいので、この場合は縮景の手法を活用しましょう。
 
縮景は日本庭園ではよく使われる手法で、具体的には中木を高木に、低木を中木に、地被植物を低木に見立てます。樹種は多く取り入れずにスッキリとした構成のお庭を作ることがポイントです。
 
低木の中でも最も背の高いものでも、2m前後の中高木から中木とします。樹高が2mくらいで形よくまとまる樹木には、エゴノキやカクレミノ、カエデ類のコハウチワカエデやタムケヤマ、タケ類のシホウチクなどがあります。
 
針葉樹のイチイも形よくまとまる樹木です。イチイは大きいもので樹高が20mほどになりますが、非常に成長が遅いため、数年は移植した形のまま楽しむことが出来ます。
 
低木ではアセビやドウダンツツジ、キリシマツツジなどツツジ類が使いやすいでしょう。アセビやドウダンツツジには、高さが1.5m以上のものが流通している場合があります。共に、本来はそれほど大きくならない樹種なので、それらを主木として見立てることで、何年も同じ大きさのままで楽しむことが出来ます。
 
正月の生け花でよく使われるセンリョウやマンリョウも、小さいながら形よくまとまる樹種です。見も鑑賞できるので、是非低木として利用しましょう。
 
ただし、一般的に成長の遅い樹種である程度の高さのあるものは、見た目以上に樹齢が高いため、大きさの割にコストがかかります。選択の際には、この点を考慮したうえで、種類や数を決めていきましょう。
 

目立つ実でお庭を作る

実は花と違い、結実してから熟すまで長いもので半年を要すこともあり、必然的に鑑賞する期間が長くなります。実を目立たせるためには、色と大きさを検討することが大事です。
 
実の色だけで考えると、アオキやセンリョウのように、葉の緑色と補色の関係になる赤い実が付くものが最も目立ちます。他にも、サワフタギが青色、ムラサキシキブやコムラサキが紫色、イヌツゲが黒色、ナンキンハゼが白色など、変わった色の実はたくさんあります。これらを組み合わせて植えると、実の色が目立つ素敵なお庭になります。
 
また、実の色と付き方でも目立ち方は変わってきます。常緑の果樹の場合、黄色や橙色のみが付くことが多いため、背景に何も置かないで空と対比させると目立ちます。一方落葉の果樹は、実が色づく頃には葉が落ちるため、背後に常緑樹を置いたほうが良いでしょう。
 
大きさについては、カキノキのように1つで付くものと、イイギリやガマズミのように数個が玉のように群れて付くものとがあります。1つで付くものでは、手のひらくらいの大きさがあれば存在感がありますが、それより小さいとあまり目立ちません。一方群れて付くものは、指先くらいの大きさでも存在感があります。
 
なお、樹木には1つの木に雌花か雄花のどちらかしか咲かない雌雄異株と、雌花と雄花が同じ木に咲く雌雄同株があります。果樹を植栽する前には、雌雄いずれかの木かを確認しましょう。
 

食べられる実がなるお庭

実は鑑賞するだけでなく食べられるとお庭の楽しみが増します。実がなるには花が咲く必要があるため、ほとんどの果樹は日当たりの良い場所に植えることが基本です。
 
育てやすい果樹はキンカンやユズ、ナツミカンなどの柑橘類です。リンゴは梅雨時にウドンコ病などの病気にかかりやすいですが、ヒメリンゴは比較的上部で鳥にも採られにくいのでおすすめです。
 
花木では、ジューンベリーやヤマボウシは美味しい実がなります。カリンやマルメロ、ボケは病・虫害が少なく、またそのまま食べるにはすっぱすぎるので、鳥による被害も少なくて済みます。オリーブに似たフェイジョアは、病・虫害に強く、実だけでなく花も食べられます。
 

庭木の足元をデザインする

お庭に木を植えたものの、足元がむき出しの土では味気ないですね。そこで、庭木の足元にも植栽(下木)を施しましょう。樹木の足元の植栽でよくやる失敗は、日当たりを考慮しない樹種選定です。
 
例えば、高木を1本植えてその下を芝生にした場合、高木が作る影により日向を好む芝生は生育状態が悪くなります。高木を植えた当初は枝や葉があまりないため地面まで日照が届き芝生を植えても問題がないように思えますが、数年が経つと大きく成長した高木の枝葉によって影が生まれてしまいます。それにより、日影の影響を受ける芝生は枯れるか、弱って剥がれてしまいます。
 
こうした事態を避けるためには、まず庭木の足元には耐陰性のある陰樹の植物を植えましょう。ただし、高木を落葉樹とした場合、冬には日差しがある程度確保できるため半日陰でも育つ半陰樹を下木として用いることも出来ます。
 
樹木は、高木に落葉樹を選択した場合は下木を常緑樹に、高木を常緑樹とした場合は下木に落葉樹を配置すると季節の変化が楽しめる構成になります。また、高木とのアクセントを付けるためには、下木の丈があまり大きくならないものが向いています。樹高1m以下程度が良いでしょう。
 
最も、これらの条件を満たしていても全ての高木の足元を低木や地被植物などで隠すことが出来るわけではありません。例えば、ケヤキは大きくなると地中から大量に水を吸い上げるため、足元に植えた木が必要な水分を摂取する事が出来ずに弱って枯れてしまう場合があります。また、サクラのように地面近くにたくさんの根を張る樹種では、足元に植栽は出来ません。