花や樹木も適材適所に

せっかく庭を持ったのだからいろんな樹木や草花を植えたい、
とお考えの方も多いと思います。

特にシンボルツリーをどんな樹木にするかを考えるのも
楽しみが大きいことでしょう。

または、庭は無いからベランダで楽しみたい、
という方も多くいらっしゃいますね。

植えたい植物がどんな性質なのかによって
その場所で元気に生長することができるかが変わってきます。

植物の性質って何?

専門的には植物によってその性質や特性は詳細な区分がされていますが、
庭やベランダに植えて楽しむための情報としては
あまり細かいものよりも大まかな理解の方が便利です。

この大まかな理解として
・どんな環境に耐えられるか
・どんな生長の仕方をするのか
という表現に置き換えることができるかもしれません。

 

適した生育環境

気温の違い

耐寒性・耐暑性
という文字や言葉を見たり耳にしたことのある方も多いと思います。
これは文字通り、
寒さや暑さにどれくらい耐えられるのかを表しています。
草花の苗などを購入するとラベルに書いてあったり、
園芸雑誌や植物のカタログの商品紹介の欄に表示してある場合など、
とても参考になります。

苗のラベルの表示には、栽培元やメーカーの想いやセンスによって
とても詳しく書いてあるものと出会うことがあります。
自分たちが丹精込めて育てた苗を長く健康に大切にしてほしいという
消費者へのメッセージでもあるでしょうし
消費者側での購買意欲にもつながりますね。

ご自身のお住まいの地域によって、
耐寒性の強いものを選ぶべきなのか
耐暑性の強いものを選ぶべきなのかを判断しやすくなります。
これは、宿根草や樹木の場合は特に家の外に植えっぱなしで良いのか、
家の中でなら冬越しをすることができるのか、
など管理の仕方によって選択の幅も拡がります。

種から育てたい、
という方でしたら種の袋に種まきの時期が表示されています。

例)寒冷地の場合は、 3月~4月
  暖地の場合は、 10月~11月   というような表示です。

これは、寒い地域で10月に種まきをして芽が出たとしても
冬の寒さで生育ができないことが多いためです。
また、反対に暖かい地域では3月に種まきをして芽が出ても
すぐに気温が上がってしまうので
花を咲かせる前にだめになってしまうことが多いのです。
表示されている時期に種を蒔くと失敗が少ないですよ
というわけです。

このように、植物を選ぶ機会にご自身がお住まいの地域の
気温や日照などの環境を知るきっかけにもなるかもしれません。

水分量の違い

植物によって、
乾燥したところが適しているのか湿ったところが適しているのか
など生育できる環境が違います。

この違いも、明らかな場合もあれば緩やかな違いもあります。

例えば、睡蓮などのように水に浸かった状態でないと生育が難しい植物と
サボテンのように乾燥した場所で生育している植物を比較して
イメージしていただくと
ちょっと分かりやすいのではないでしょうか。

この睡蓮とサボテンのような極端に違う植物の生育環境のあいだに
さまざまな樹木や草花があります。

苗のラベルに
乾燥気味に育てます・・・とか
湿り気のある土壌を好みます・・・など
分かるようで分からない表現で書かれていることが多くあります。
このような場合、比較対象があると便利なのですが
なかなかそうもいきません。
まずは、丈夫で簡単という評判の植物から
始められることをおすすめします。

土のPhの違い

この土壌のPhの違いというのは、
土壌が酸性に偏っているのかアルカリ性に偏っているのか
ということです。
植物によっては専門的に、
細かく目安の酸性度を表示されているものもたくさんありますが、
大まかに分けて酸性の土に適している植物その他の植物
と覚えていただいても良いと言えるくらい
酸性を好む植物を覚えておくと便利です。

酸性の土を好む植物で皆さんよくご存知なのがブルーベリーです。
つつじ科の植物全般が酸性の土壌を好みます。

      

ブルーベリーの中でも、
最近では酸性にこだわらなくて良いとされる品種も
販売されるようになりましたが
基本酸性と覚えておかれると良いでしょう。
 ※苗についているラベルを必ずチェックしてください。

このように酸性を好むブルーベリーなどは、
市販されている花と野菜の土培養土は使用できません。
ブルーベリー専用の土が市販されていますし、
ご自身で配合される場合はピートモスと鹿沼土などを使用します。

※ピートモスとは植物の繊維や苔を乾燥させた土壌改良資材のこと。
 酸性土壌を作る場合、Ph無調整のものを使用するよう注意が必要です。

このように酸性の土壌を好む植物には注意が必要ですが、
実は酸性の場所の方が多いともいえます。

もともと日本は雨が多いのでそのままにしておくと酸性に傾きやすいため
野菜や草花などを植えるために石灰をすき込むなどをしてPh調整をします。

ですが、
その他の植物の場合は特別な表記がなければ
市販されている花と野菜の土培養土を使用することで
簡単に植え付けることができます。

 

日照の違い

多くの植物は、日当たりと水はけの良いところに植える
と苗のラベルに書かれています。
広い庭であれば、沢山の樹木や草花を植えることができるでしょう。
またはコンテナなどを利用することで、
限られた場所でも平面の数倍の植物を植えることができ
日光に当てることもできるようになります。

一方、住宅事情などの必要性やおしゃれな庭が演出できることなど
さまざまな理由でシェードガーデンも人気が高まり
日陰や半日陰を好む植物も多く紹介されるようになりました。
半日陰というのは、
一日のうち数時間日に当たるような場所ということです。
ですが直射日光に限ったことではなく、
明るい木漏れ日や壁の反射光なども含まれます。
ここで注意が必要なのが、西日に直接当たらないことが大切です。
西日は日差しが一番強くなる時間帯なので
半日陰を好む植物を弱らせてしまいます。

どんな植物も、まったく日光が必要ないというものは無いでしょう。
自然の森や林のなかなどを散策するとよく分かります。
大きな樹木の下にたくさんの植物が生えていますね。

それぞれに合った日照の場所に植えることで
植物の健康を保つことができます。

 

家の周りの環境を知ることがとても大事

環境もさまざま

植える場所の環境を知る

同じ場所のようですが、
家の周りは日当たり・風の通り方
乾燥している場所・湿っている場所など、それぞれ違います。
隣の住宅が近くに建っている場合や、
高い建物の近くなどはその影響も受けます。
季節によっても、日照や気温などの様子が違います。

左のイラストのように冬は太陽の位置が低いので、
隣家との間にまったく日が差さない場所ができる場合があります。
仕切りがコンクリートのブロック塀などでは風遠しも悪く、
ずっと湿ったままでジメジメしていることでしょう。

一方、右のイラストのように夏は太陽が真上を通ります。
昼のあいだ、お隣りとの間もちょっと明るい時間がありますね。
場合によってはとても乾燥するかもしれません。

建物と建物とのあいだには、思いもよらない風が通ることもあります。

どんな植物を植えると良いかの判断材料に、
一年を通して太陽の動きや風の通り方を知っておくと良いでしょう。
また、
近隣の庭にどんな植物がどのように植えられているのかを見て回ると
とても参考になります。

特に、宿根草や樹木を植える場合などは
せっかく植えた植物が枯れてしまうとショックも大きいものです。
それぞれの宿根草や樹木に合った場所に植えたいですよね。

 

作りやすい環境と 作ることが困難な環境
日向

もともと日当たりが良い場所に日陰を作ることは簡単です。
タープやパラソル、寒冷紗などで覆うと
簡単に日光を遮ることができますし、
建物の周りであれば、
庇(ひさし)を付けるなどで対処できる場合もありますね。

ですが、
日向の無いところに日向を作ることはなかなかできるものではありません。
日陰をつくっているものが大きな建物であったり
山や崖では諦めざるを得ません。

水はけ

同様に、
水はけの良いところに水持ちの良い場所を作ることは簡単ですが、
水はけの悪いところを水はけ良くすることは大変です。
とくにご自身でやろうとすると手間や時間がかかりますし
何より力仕事ですからなかなか思い通りにはいかないでしょう。

風通し

また、風がよく通るところの風を防いだり弱めたりすることは簡単です。
でも、風が全く通らないところに風を通すことは
なかなかできることではありません。
風が通らないところで健康に生育する植物は限られてくるでしょう。

 

植物を植え始めてから何かを変えるのはとても大変なことです。
始める前に全体のイメージを考えておくとその後の作業も楽ですし、
専門家に依頼する場合の費用も少なくて済むことが多いです。

 

植物を守るために植物を利用する

樹木の下は快適

松のように
かなり過酷な条件の場所でも力強く生育している植物があります。
防風林や防砂林などの言葉をご存じでしょう。
ツガやモミも暴風にも耐え乾燥にも強い植物です。

でも、
一般の住宅でガーデニングとなると
もう少しマイルドな環境での場合を考えてみましょう。

落葉樹の下

例えば、真夏の直射日光が強すぎるところのお話し。

クリスマスローズのように、
冬の日光に当てたいけれど真夏の直射日光に当ててしまうと
枯れてしまうような植物を植えたい場合は落葉樹の下が最適です。

その名のとおり、落葉樹は秋になると葉が落ちるので
冬は地面までしっかりと日が差し込みます。
夏は太陽が高い位置を通りますから
厳しい日光を繁った葉が遮ってくれます。
日陰となった葉の下は涼しい風の通り道でもありますし、
樹木の株もとは
樹木が水分を吸い上げるので
過湿にもなりにくいというメリットがあります。
温度も湿度も調整してくれるというわけです。
直接地面に植えないとしても、
鉢植えの状態でも落葉樹の下は置き場所として最適です。

人気のある落葉樹

落葉樹で庭に植える人気の樹木に
モクレンの仲間桜の仲間などがあります。
モクレンの仲間は、
春を告げる大きめの花がとても良い香りを漂わせます。

マグノリアという呼び名でご存じの方も多いと思います。
西洋からやってきた、
チューリップの木なども可愛らしい花を咲かせますし
日本の高山に自生しているオオヤマレンゲなどは
森の貴婦人と呼ばれ清楚な花姿が人気の花木です。

桜の仲間や桃の仲間も楽しい花木がたくさんあります。
花を楽しめるのはもちろんですが、
サクランボネクタリンプラムなど
果実を楽しむことができるのも大きな喜びですね。

ただし、樹木は樹高が高くなるものも多く
植えっぱなしだと大変なことになります。
また、落葉樹は当然ながら葉が大量に落ちます。
掃き集めて腐葉土を作ったり、マルチングに使うなどされるのであれば
とても最適な樹木なのですがその分手がかかるということです。
また、枯葉が風で飛んで近隣の住宅とのトラブルとなる場合もあります。

植えたあとのメンテナンスがどれくらい出来るのかなど、
長期的な予測と計画が必要です。

常緑樹も魅力的

夏の直射日光を遮って冬に日光を当てたい場合の樹木選び、
といった場合に常緑樹でも魅力的な樹木がたくさんあります。

椿(ツバキ)や山茶花(サザンカ)、
金木犀(キンモクセイ)などは枝を豊富に分枝させるので
樹形を作りやすく
垣根や盆栽仕立てのような利用もされています。
どれも花を楽しむことも出来ますし、
金木犀は香りでも人気の高い樹木です。

このような性質を活かして、
株もとに空間をつくった日傘を作ってみてはいかがでしょう。
冬の太陽は低い位置を通るので、日が当たる可能性は大いにあります。
植えたい場所の太陽の通り方に合わせて形を整えるのも
楽しみかもしれません。

ですが、
どの樹木も強い分生育が旺盛なので
まったく手をかけないわけにはいきません。
刈り込みなどをしなければ樹形が見苦しくなるばかりでなく、
やはり高くなりすぎるなど大変なことになります。

また、
山茶花(サザンカ)などは蛾の幼虫の好物なので注意が必要です。
毛虫の毛には毒があるので触るとかぶれるなど困ったことになります。
街路樹として植えられているものでも
時折り問題になっていることがあります。
特に、人が通る場所に植えられている場合
気付かないうちに服に付いたり、吸い込んでしまうケースがあるからです。
皮膚がかぶれたり喉の異常などで病院に行ってみてはじめて分かった、
というケースも多いです。
毛虫対策は薬剤散布か頻繁に観察してその都度対処するなどが必要です。
薬剤散布は近くで果実や野菜などを育てている場合には避けたいですし、
近隣への配慮も必要です。
まめに観察して対処するのも時間も手間もかかります。
特に相手が毛虫なので苦手な人には無理な作業ですよね。


樹木にも草花にも
   それぞれに合った場所や組み合わせで

樹木や草花の特徴や特性を調べることも楽しみのひとつだと思います。
見た目だけで選ぶのは危険です。
そしてやっと選んで迎え入れた植物を健康な状態に保つために、
それぞれに合った場所や組み合わせを工夫して長く楽しんでください。