住宅用植栽のための3大基本テクニック

 

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テクニックを知って真似るだけでは建物や敷地の条件が変わったときに臨機応変に対応することが出来ない場合があります。ここでは、植栽に必要な気候、土壌、植物の細部に渡る形態から緑のプランニングまで、絶対欠かせない基本知識をご紹介・解説します。
 

失敗を避ける緑の5大要素

植栽デザインでは、計画地の環境が樹木の成長に適していることが前提条件となります。樹木が成長するためには「日照」「水分」「土壌」「風」「温度」の5つの要素が不可欠です。
 

1、日照

樹木には、大まかに分けると陽樹・陰樹・中庸樹があります。それぞれ好む日照量が異なるため、敷地の日照条件によって樹種がある程度絞られます。
 
日照は1年で最も陰が短い夏至と、最も陰が長い夏至の日影図を元に検討します。日影図を用いて、どの時間帯にお庭のどの部分に日が差し込むかをチェエクします。例えば、建物の南面は夏至、冬至ともに終日陰ができないため、日を好む陽樹の植栽が可能であることを確認できます。
 
また、同じ日差しでも季節や時間によっては植物にとって益にも害にもなります。樹種選択は、樹木の日照に対する特性を理解した上で行いましょう。
 

2、水分

屋外に施される植栽への水分供給は、雨水で行うのが基本です。中庭の場合、植栽が可能なスペースは天空が空いている部分の水平投影面積であり、設計によっては限られた部分のみにしか植栽できなくなります。
 
一方、水分が多すぎても植物の成長は阻害されてしまいます。特に窪地には水が溜まりやすく、樹木を植えても根が腐って枯れてしまう恐れがあります。このような場所は水が溜まらないよう、僅かな経書でもいいので勾配を付けましょう。
 

3、土壌

樹木にとって健全な土壌とは、適度な排水性と保水性があり有機質に富んでいる状態です。敷地が粘土質や砂質、砂利が多い土壌の場合、樹木の成長によって望ましくない環境なので、土壌改良の必要があります。土壌汚染の恐れがある場合は、専門家による調査・診断が必要です。そうでない場合は、バーク堆肥に完熟腐葉土を混ぜるといいでしょう。
 
土質が確保できたら、次は土の範囲を確認します。樹木は、地上に出ている部分を支えるために枝張りと同程度の根を張ると言われています。したがって、枝張りの幅以上の土壌が周囲には必要です。
 

4、風

建物が密集して風が上手く通らない環境では、樹木は熱や水分で葉が蒸れてしまい健全な成長が期待出来ません。病・虫害も発生しやすくなります。
 
塀際や壁際などの風通しがあまり期待できない場所に植栽する場合、背後に開口部を設けたり一部をフェンスにするなど、通風を確保することが重要です。
 

5、温度

樹種ごとに生育に必要な適温があります。使いたい樹木の自生する地域が植栽計画地に近くても、適温帯が違えば健全な成長は望めません。
 
日本における植栽地域の分類は、水平・垂直方向にそれぞれ4つの地域に分けることが出来ます。計画地がどの分類に属するかを確認した上で、植栽デザインを始めるようにしましょう。
 

形から始まる緑のデザイン

1、葉による樹木の区分

樹木は、葉付きの状態を通年で見て区分されます。秋から冬にかけてすべての葉を落とすのが落葉樹、1年中葉が付いているのが常緑樹です。アベリアなど、落葉期に一部の葉が生きて越冬するものを半落葉樹といいます。落葉樹は夏に葉を茂らせ、冬に葉を落とします。この性質を利用して日差しの調整などに利用が可能です。常緑樹は、常に葉がついているのでお庭の背景木や生け垣などの仕様に適しています。
 
葉の形で樹木の種類を区分したものが広葉樹と針葉樹で、日本に生育する9割の樹木が広葉樹です。広葉樹はソメイヨシノなど広い葉を持つ樹木で、マツのように細く尖っているのが針葉樹です。多くは葉の大きさや形からどちらの区分に属するか判断がつきますが、ナギのように卵状の葉を持つ針葉樹もあります。針葉樹の細長いシャープな葉は人工的な印象をあたえるので、直線や曲線など幾何学的な線の多い抽象的な建物に合います。広葉樹は丸みを帯びた葉が多いため、お庭に柔らかな印象を与えたいときに使うといいでしょう。
 

2、必要日照による樹木の区分

樹木の成長に必要な日照量によって、大きく陽樹・中庸樹・陰樹の3つに区分できます。陽樹は日当たりを好み、陰樹は日当たりを嫌う性質があります。中庸樹はその中間で、適度な日当たりと日影を好みます。
 
陽樹は、主に南向きの日当たりの良い場所に植栽します。陰樹は日当たりの悪い北側のお庭や、中高木の影になる下木として植栽するといいでしょう。中庸樹は東のお庭に適しているものが多くあります。
 
陰樹の中にはコウヤマキのように、幼樹の時は陰樹で、成長すると陽樹になるものや、ヒノキのように陰樹でありながら日当たりのいい場所でも生育する樹種もあります。ただし、陽樹は日陰の環境に適さないものがほとんどです。
 

3、高さによる樹木の区分

樹木は、樹高によって高木(4m以上)、中高木(2〜3m)、中木(1.5〜2m)、低木(0.3〜1.2m)、地被植物(0.1〜0.5m)に分けられます。樹木がどのくらいの高さになるかで、お庭に植えられるかどうかが決まります。樹種選択の際には、その気が造園木として将来どの程度の大きさになるかを確認しておきましょう。
 

4、枝・葉・花の形態

葉の中を通る筋を葉脈といい、根から吸った水分を葉に運び入れ、葉で作った有機物を運び出す役割を担います。なかでも中心を走る脈を主脈といい、そこから分岐するように走る脈を側脈または支脈と言います。
 
葉そのものは葉身といい、緑は葉縁といいます。葉縁にも様々なタイプがあり、ギザギザ状のものを鋸歯といいます。まったく鋸歯がないものは全縁、粗い鋸歯の縁にさらに細かい鋸歯がある重鋸歯、波を打ったような形の波状、ギザギザが不揃いな欠刻などと、細かく分類されています。
 
葉を支える軸を葉柄といい、樹種によって長さが異なります。ミズナラなどほとんど葉柄がないものもあります。バラ科の樹木などは、葉柄の基部に托葉と呼ばれる葉のようなものが付きます。托葉の形は樹種によって様々です。
 
葉の付き方は交互に付く互生、左右対称に付く対生、風車のように付く輪生、地際から数本出す叢生に分けられます。
花の付き方も細かく分類されています。1本の花軸から出た複数の枝がそれぞれ花になる総穂花序、花軸の先が花になって成長が止まり側枝に花が咲く集散花序、複数の花序が集まる複合花序などがあります。
 

樹木が際立つ配植の方法

1、樹木の配植は不規則に

お庭を自然に仕上げる基本的なテクニックは、曲線や奇数、アシンメトリー、ランダムといった不規則さを取り込むことです。樹木はどの方向から見ても3本以上が同一線上に並ばないよう配置し、間隔や大きさも揃えないように注意します。平面で見たとき、主要な樹が不等辺三角形の頂点になっているような配置が理想です。
 
不規則だからといって、手当たり次第に樹木を植えると乱雑な雰囲気になりお庭はまとまりません。樹木の種類や数はあるていど抑えるようにしましょう。
 

2、極端な高さの違いが奥行き感を生む

樹木の高さに高低差をつけると自然な印象が生まれます。差が大きいほど効果的です。樹木を配植するときに中央部の樹木の高さを抑え何もない空間を大きく取ると、お庭は広く感じられます。
 

3、樹木の重なりは成長を考慮する

高さの違う樹木を重ね合わせることは、自然なお庭をつくる上では欠かせないテクニックです。前後に重ね合わせるときは低木を手前側に、高木を奥側にします。左右では、枝先が触れ合う程度に並べるのが基本です。
 
どのような重ね方にするかは、樹木の成長を見越した上で考えます。お庭の完成形として移植から3年後くらいの樹姿をイメージしましょう。3年間の成長を見越し、樹木間は高木は2m以上、中木は1m以上、低木は50cm以上、地被植物は15cm離します。